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From CEO

第18回 就業規則の手続き変更

2017年4月17日


アルベリーアジアCEOの増井哲朗です。
就業規則に関しての手続きが変わりました。
良い機会ですので、就業規則作成のポイントと併せてご報告いたします。
皆様が必要であると分かっていて、日々の多忙の中で、ついつい後手に回ってしまうのが、この就業規則の作成のように思います。それは、これが存在しないからといって、すぐに困らないからです。従業員が働いて、給与の支払いがされていれば、会社は回って行きます。当面、雇用契約書と給与支払い規則などの書面があれば凌げてしまいます。
就業規則はタイの労働者保護法第108条の「10人以上の労働者を有する使用者は、タイ語の就業規則を作成しなければならない」にしたがい作成され、同条第2項の「就業規則の写しを労働局に提出しなくてはならない」にしたがい労働局に提出をして、検閲を受けるのが今までの手続きの流れでした。
それが、2017年4月5日施行の法律改定により、労働局への提出・検閲という手続きが不要となりました。確かに多くの企業から提出される就業規則をチェックするのは監督官庁としても大変な手間と時間が掛かっていたと思います。
当社でも稀に、作成した就業規則について、条項の順序、文章の表現方法など労働局スタッフの指示・助言を受けることがありました。
こうした労働局への提出義務が廃止されたのは、各企業にとって効率化として歓迎したいところですが、一概にそうとは言えません。
従前の労働局で確認された就業規則は、労働局の「お墨付き」ですから、その内容は労働者保護法を正しく理解し、その条項を網羅して作成されたものと認められていました。したがって、その内容自体が労働裁判所等で問題になることは少なく、その内容に準拠した活用がされてきたかが問われました。
ただ、今後は違って来ると思います。
労働裁判が起きたときには、まず、保持する就業規則が労働者保護法を守って作成されたものかどうかをチェックされることになると予想します。
就業規則作成に当たっては、まず、その必要性を認識しなくてはなりません。
法律的には、従業員が10人に達した時点で「タイ語で作成された就業規則」が必要ということになっていますが、実際にはどのような小さな組織であっても、事業を運営して行く上での規則は必要です。
したがって、当社では従業員の員数に関わりなく、早い段階で就業規則を作成し、それに準じて組織の運営を行っていくことを各企業様には勧めています。
就業規則の作成を進めていく際の注意点ですが、結論を先に言えば「タイ国労働者保護法が要求することだけを、就業規則の条文・条項として記載するだけにとどめる」ということになります。
日系企業の陥り易い失敗は、就業規則中に多くのことを盛り込みすぎるということです。就業規則は経営ビジョンや行動指針を示すものではありません、まして、労使の協定でもありません。本旨が理解されないまま、日本本社の就業規則や労働協約などの書面をタイ語に翻訳して使用しているケースが散見されます。
結果として、労働裁判などが起きたときに、よけいなことを記載してあるがために、不利な裁定を受けることになります。
具体的にお話ししますと、就業規則の中に「従業員採用方法」等という条項を作り、仔細に手順とそれに関係するスタッフの役割が記載されているケース、労働者保護法にこのようなことに関する条項・規程はありません。
それでも、就業規則に載せた以上は守らなければなりません。
労働裁判では、この採用方法が守られていなかったということで、不利な裁定を受けてしまいました。また、支払い給与について、手当の内容などを細かく就業規則に記載してしまうという“行き過ぎ”も多くあります。
私自身は、「まず、労働者保護法を守るための最低限の就業規則を作ること
唯一、労働者保護法になく、就業規則に記載した方が良いと思うのは、永年勤続者や、特許取得などの貢献者を表彰する「表彰制度」くらいだと思います。
そして、この“背骨”となる就業規則を作成した後、詳細については「内規」として定めるというのが現場的には最も使い勝手が良いように思います。
シンプルですから、タイ人総務スタッフや工場スタッフにも理解し易いと考えます。
就業規則は作成するだけでなく、それを従業員に周知徹底することが法律で定められています。そして、誰もが閲覧し易い場所に保管されていなくてはなりません。
労働局が会社に来た場合にも、まず、従業員名簿と就業規則の状況を確認します。
それでは、だいぶ長くなりましたので、本稿はこれで終了して、次の回で具体的な就業規則の注意するべき条項、周知徹底の方法などを述べます。