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From CEO

第9回 創業期の人材採用

2013年6月16日


アルベリーアジアCEOの増井哲朗です。
今回は、先回、お約束した創業期の人材採用の注意点についてお話しします。
タイで広く購読されている工業系フリーペーパー誌に『U-MACHINE』があります。
その最近号(2013年6月号)に中小企業診断士の山中隆氏が
「タイ従業員はすぐに辞めてしまうと言われているが、事実ではない」ということを受け持ちのコラムの中で述べています。私も全く山中氏の意見に同感です。
私が経営の任に当たっていたエンケイタイは、長く勤務する従業員が多く、現在でも創業社員(25年以上勤務)が10名程在籍しています。
もちろん、
タイの失業率が1%を切っている状況ですから、多くの労働者が転職する機会に恵まれています。この外部環境は日本とは大きく異なる点ですから、良く理解しなくてはなりません。だからと言って「タイ人はすぐ辞めてしまう」という固定観念から、
「長く勤めてもらう環境造り」を怠る愚は避けなくてはなりません。
さて、法律的な会社の設立が終わり、創業のための人材採用が始まります。
ここで、
大切なのが、どのプロジェクトでも同様ですが、「段取り」です
採用の場合は、相手があることですので、事前の準備がさらに重要になります。
まず、大切なのが「組織図」です。
どのような小さな組織(4-5人)であっても、組織図を紙に書いてみてください。頭が整理できますし、各ポジションの仕事内容がハッキリと見えてきます。具体的な組織イメージが湧かないまま採用活動に入ることは良い結果を生みません。
次に会社のルールに関して、決定しなくてはなりません。
この時点で、「就業規則」まで準備できている企業はほとんどありません。
まず、
採用開始するに当たって、応募者に提示する内容を明確にします
特に応募者が気にする、給与、時間外勤務の扱い、通勤費等の手当関係、年間休日はあらかじめ決めて、採用面談の折には、説明できるようにしなくてはなりません。

実際に採用面接にいたるまでの過程では、多くの企業がコンサルタント会社の力を借りることになると思います。そうした会社に、あなたの会社の提示できる条件、そして、欲しい人材の要件を明確に伝えるのが、良い人材確保の必要条件です
それから、採用の順番は上位(幹部)の人材から採用して行くのが鉄則です
たまたま、課長職にピッタリの人材が見つかったから、部長を採用する前に採用してしまったというのは避けたいところです。タイ人は意外と「入社年次」を気にします。
創業期に部長よりも課長が会社経験では、たとえ1ヶ月でも先輩という事態が発生するのは得策ではありません。

採用面談はトップの仕事です。コンサルタント会社が書類選考や事前面接で、候補者を
3名程度に絞るのは効率面で良いことですが、重要な採用決定のための面接はトップの
仕事です。と言いますのは、どんなに「履歴書」がりっぱでも、どこか自社の文化と
馴染まない人物もいます。また、その逆もあります。要するに「相性」を判断できるのは
最終的にトップだからです。

その上で、最終決定時に、前述の採用済み幹部が居れば同席させて、形式的にでも
彼・彼女の同意を取っておきます
。これは、本人に幹部としての自覚を持たせる意味と、
後になって、採用した人材への不満を封じる意味からも有効な手段です。

採用が決定して、契約書に署名することになるのですが、この時点で「雇用契約書」が準備されていないケースをよく見かけます。新会社に応募してくる人は、前職があって、その会社を辞めて新会社に移る前提で採用試験を受けています。
したがって、口頭の「合格通知」だけでは、不安に思った先方から辞退されることも
あります。簡単な書式で良いので、
採用が決定次第、相互に署名する「雇用契約書」は
用意しておくべきです

それから、現状のタイの雇用状況を考えれば、採用決定したら、本人が希望する日時から雇用することを勧めます。仮に、営業開始・操業開始より1ヶ月程度早くても出社してもらい、オフィスの準備、カタログの用意とか顧客台帳の整理など、仕事を探して確保して下さい。現状、1?2ヶ月先まで待ってくれるタイ人はいないでしょう。
冒頭の「タイ人はすぐ辞める」に戻りますが、逆に長く勤めている人は「なぜ、辞めないのか」を考えてみると、タイ人が会社に求めるものを理解できます。
以前の会社、エンケイタイで専門のコンサルタント会社に依頼して、従業員150名に対して、インタビュー形式での調査を行い、まとめてもらったことがあります。
その結果、会社に勤める楽しみの第一位は「会社に来ると友達と会える」でした。
第二位は「家族みたいな暖かさで、みんなで仕事すること」でした

その当時、採用面談の折に、たびたび著名な大企業のタイ法人に勤める人からの
応募があり、なぜと思っていましたが、謎が解けました。
タイ人にとっては、日本人が考えるほどには、「大企業ブランド」が重要ではない
ということです。

この調査は、経営に当たっていた私にとっては、大きなヒントになりました。
まず、
本人に明確な「居場所」があり、チームの一員として貢献している実感が持てること、友達関係が培われる風土がある経営に心をくだきました。経営の本筋の話しは割愛しますが、「ファミリーファンド」と言われる共済会、社員食堂の充実、運動クラブへの
助成、各種催し物の設定などを積極的に行いました。

創業期に全てを同時に行うことはできませんが、まず、採用した従業員と最初の1週間は集中的にコミュニケーションを取り、とにかく、それぞれのパズルのピースが一応納まった状況をつくることが重要です。各人の「居場所を作る」ということです
最初の1週間が非常に重要な時間です。その上で、微調整を図りながら、
「居心地を考える」次のステップに踏み出して行くと良いと思います
皆様の創業期の採用が円滑に進むことを心から願っています。

今回もついつい長い文章になってしまいました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。