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From CEO

第5回 現場に立つ

2012年12月3日


アルベリーアジア代表(CEO)の増井哲朗です。
今回は「現場に立つ」ということを話してみたいと思います。
現場という言葉は、生産会社の中では、現物と現実という言葉とセットになって、「現場・現物・現実」の三現主義というように使われます。
問題解決を図るときに、この三つの「現」を大切にするという考えのことで、企業や工場の経営・管理では、常識と言って良いことだと思います。
これを読まれている方は、タイ進出を検討されている方々だと思いますので、会社・工場開設、またはお店の不動産を決定する場合に絞って、「現場に立つ」ことの重要性をお話したいと思います。
皆様から「当然すぎる」「不動産を事前に見るのは当たり前」という声が聞こえて来ます。ただ、私的には、それは「現場に行く」だけで、「現場に立って」深く考えていないように思います。
不動産を選定するというのは、難しさの反面、心躍るものがあります。
特にオーナー経営者の方にとっては、自宅を建てる感覚に近いものがあります。
現場を見たときに、頭の中で「地鎮祭」が始まっています。
ここで、心を引き締めて、「現場に立って」考えなくてはなりません。

■ 交通事情
何回かタイに出張されると、バンコク郊外の道に信号がないことに気がつきます。全ての方向変更は交差点を除き「U-タン」を基本として、道路設計がされています。と言うことは、その道路からは一方方向にしか車を出せないというケースが発生するということです。
実際にあった話ですが、バンコクから郊外に向かう道路側で始めた立派な店構えのレストランが早々に閉店してしまいまいました。考えれば、当たり前で、朝、郊外の工場に向かう人“側”の道ですから、店を開くなら安直な朝食を出すお店が適しているはずです。

また、ある事務所を借りた方は、その事務所から車を出すときに、当該道路が一方通行で、必ず混雑が分かっているスクンビット通りに出なくてはならないと嘆いていました。
最終的な決定段階では、朝夕の時間帯に現場に立って、周辺のラッシュアワーの状況のチェックも必要です。最近の事例では、場所、広さ、家賃がお客様に適当だと思う賃貸工場の物件があり、現場に向かいました。それで、分かったことはその工場地域への取り付け道路が、狭く貧弱なことでした。
これでは、通勤がどうこうと言う前に、資材の搬入、顧客へのデリバリーに支障をきたしてしまいます。2回目にチェックに言った折には、夕方の交通渋滞の酷さを嫌というほど味わって帰路に就きました。当然、お客様には勧められません。

タイにはタイの特殊な道路事情があります。皆様が考えているタイでの業容に最適な不動産を探すためには、交通事情の確認は必須のものです。
■スペース
必要とするスペースは当然の事ながら、事前に把握して現場に向かいます。ただ、意外に、全くの更地やガランドウの貸し工場内を見た経験がある人が少ないのです。ですから、スペースの感覚が狂ってしまうことがあります。
家具売り場で見た家具が、家に入れたら大きすぎたという経験は皆さんお持ちだと思います。

■用途
これも、良くある間違いですが、最初は倉庫として利用して、しばらくしたら、同じ場所で組み立てを始めたいというような場合です。その場合には、最初から工場用途に使える不動産であることを確認してから、契約しなくてはなりません。
賃貸工場の場合、建坪率が高くできる倉庫用の方が、工場用よりも15%程度家賃が安いのが普通です。しかし、後になって、高いものについてしまいます。
店舗用の場合でも、大家さんによっては、用途を限定する人がいますので、事前に十分な話し合いをして、確認しておく必要があります。

■人員確保
この項目を意外に思われる方が多いと思いますが、現在、タイの失業率は0.4%です。完全雇用の状況下、ラオス、カンボジア、ミャンマーからの外国人労働者も入ってきていますが、焼け石に水という状況です。
人手の確保はロケーションと深く関係します。事前に周辺の、採用状況の確認は絶対に必要です。昨年の洪水以降、人気のある東南側ゾーンに立地する企業では人員確保ができないので、受注を抑制するというようなことが起きています。
もし、少人数の工場であれば、近くにある程度の「街」があるようなロケーションの方が良いと思います。

紙面に限りがありますので、多くを書けませんが、工場であれば、設置する機械がどの程度の重量かによっては、建物の構造以前に、ロケーションは限定されます。
バンコクは基本的に砂州地ですから、立ててあった基礎杭が自重で沈むという日本では考えられないことが起きます。また、精密関係の仕事では、賃貸工場の出来合いの床では、平面度や水平度が規格外ということもあります。
また、クリーンルームへの変更はしやすいのか等々、気になることです。
お店では、せっかく好条件で店舗用不動産が借りられ、3年契約して開業、ようやくお店も軌道に乗り、これからと言うときに、大家さんから「賃料を50%アップします」と通告され、驚くという事態も発生します。繁盛している店であるほど、そういう問題が発生するケースが多くなります。それを防ぐ、事前の手立ても必要でしょう。

まず、皆様がタイで何をしたいのか、そのことを十分に理解する人が不動産探しの「伴走者」にならなければ、無駄に時間が過ぎるだけです。業容として、600平米あれば十分という賃貸工場を探しているのに、1000平米以上しかない工場団地を見る必要はないし、日本人相手のお店を考えているのに、日本人密度の低いロケーションの店舗用建物を見てもしょうがないと思います。
皆様が「現場に立って」、最適な不動産を取得するのを願い、この稿を終わります。